開業のきほん
同じ「お酒を出すお店」でも、接客の仕方や営業時間によって、必要な手続きは大きく変わります。この記事では、主に東京都でお店を開く方に向けて、スナック・ラウンジ・バー・ガールズバーなどを開くときに必要な許可と届出を、業態ごとに整理します。営業時間や場所の基準など細かい決まりは都道府県によって異なるため、東京都以外の方はお店のある地域の警察署などでご確認ください。
風営法の手続きの前に、飲食店として必要な手続きがあります。業態に関係なく、次の手続きはどのお店にも関わります。
飲食店営業の許可:保健所へ
お酒や料理をお客様に出すお店は、営業を始める前に保健所の許可を受けます。窓口は、お店の場所によって次のように分かれます。
お店ごとに食品衛生責任者を決めておく必要があります。調理師や栄養士などの資格がない場合は、東京都食品衛生協会の講習を受けて資格を取ります。会場での講習のほか、e-ラーニングでも受けられます。開業が決まったら、早めに申し込んでおくと安心です。
使用開始の届出と工事の届出:消防署へ
東京消防庁が受け持つ地域(島しょ地域と稲城市を除く、都内のほぼ全域)では、店舗として使い始める日の7日前までに「防火対象物使用開始届出書」を消防署に出します。内装工事をする場合は、工事に取りかかる日の7日前までに「防火対象物工事等計画届出書」も必要です。稲城市と島しょ地域では、それぞれの市町村の消防本部に確認してください。
建物全体の収容人員が30人以上になる場合は、防火管理者を選任して届け出ます。テナントとして入るときは、建物全体の状況をオーナーや管理会社に確認しておきましょう。
お酒の販売免許:原則いらない
お店の中で飲んでもらうためにお酒を出すだけなら、税務署の酒類販売業免許は必要ありません。一方で、瓶のまま持ち帰り用に売る場合は免許が必要になります。
風営法で、飲食店に関係する主な手続きは次のとおりです。窓口はいずれもお店の場所を管轄する警察署で、許可を出すのは東京都公安委員会(知事のもとに置かれ、警視庁を管理する都の委員会)です。申請や届出は、警察署を通して公安委員会に出す仕組みになっています。
| お店の形 | 主な例 | 必要な手続き | 深夜0時以降の営業 |
|---|---|---|---|
| 接待をする飲食店 | スナック、ラウンジ、キャバクラ、ホストクラブ、接待をするガールズバー | 風俗営業の許可(1号) | 原則できない(一部の地域は午前1時まで) |
| 客席の明るさを10ルクス以下にする飲食店 | 照明を極端に落としたバー・喫茶店 | 風俗営業の許可(2号) | 原則できない |
| 見通しのきかない5㎡以下の客席がある飲食店 | 狭い個室席を設けたバー・喫茶店 | 風俗営業の許可(3号) | 原則できない |
| 接待をせず、深夜0時以降もお酒を中心に出す飲食店 | バー、ダイニングバー、接待をしないガールズバー | 深夜酒類提供飲食店営業の届出(営業開始の10日前まで) | できる |
| 深夜0時以降に、お客様に遊興をさせてお酒を出す飲食店 | ナイトクラブ、ショーを見せるお店 | 特定遊興飲食店営業の許可 | できる |
| 接待をせず、深夜0時までに閉める飲食店 | 一般的な居酒屋、カフェ | 風営法の手続きは不要(保健所・消防の手続きのみ) | ― |
このほか、マージャン店・パチンコ店(4号)やゲームセンター(5号)も風俗営業の許可の対象ですが、この記事では飲食店に絞って説明します。
許可は、警察の審査を経て認められるものです。申請から結果が出るまで時間がかかり、東京都では55日以内(土日祝日などを除く)が目安とされています。届出は、決められた書類を期限までに出せば営業を始められます。ただし、届出でも場所や店の造りの条件は守る必要があります。
風俗営業の許可が必要かどうかを分ける最大のポイントが「接待」です。警察庁の基準では、接待とは「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」とされています。
具体的には、次のような行為が接待に当たるとされています。
反対に、次のような行為は接待に当たらないとされています。
注意が必要なのは、ガールズバーやコンセプトカフェのように、カウンター越しにスタッフとお客様が話すお店です。カウンターがあるかどうかではなく、特定のお客様の相手を続けてしているかどうかで判断されます。「うちはバーだから」と考えて届出だけで営業していても、実際の接客が接待に当たれば、許可を受けずに風俗営業をしていることになります。
無許可営業の罰則は、2025年6月の法改正で大きく重くなりました。罰金の上限は200万円から1,000万円に、法人の場合は3億円に引き上げられています。開業前に、予定している接客の仕方を具体的に確認しておくことが大切です。
接待をするお店(1号)は、原則として深夜0時から午前6時まで営業できません。東京都では、一部の商業地域に限って午前1時まで延長が認められています。
深夜0時以降もお酒を出したい場合は、接待をしない形で、深夜酒類提供飲食店営業の届出をすることになります。接待をするお店として許可を受けるのか、接待をしない深夜営業のお店として届け出るのか。どちらの形で営業するかは、物件探しの段階で決めておくことをおすすめします。
深夜酒類提供飲食店営業には、ほかにも条件があります。
許可も届出も、お店の場所と店内の造りに条件があります。
風俗営業の許可は、東京都の条例で定める「住居集合地域」(住居系の用途地域)では原則として受けられません。学校・病院・図書館・児童福祉施設などの近くも制限されます。距離の基準は地域によって異なり、商業地域では緩められている場合があります。店内についても、客室の広さ、見通し、照明の明るさなどに基準があります。
物件を契約したあと、内装工事をしたあとで基準に合わないとわかると、やり直しは簡単ではありません。物件の契約や工事の前に、その場所と間取りで必要な手続きが取れるかを確認しておくことが、開業までの近道です。
代表自身も長年、夜のお店で働いてきました。現場での経験を生かし、物件の事前確認から許可・届出、開店後の変更手続きまでサポートします。詳しくはごあいさつをご覧ください。料金の目安は料金のご案内、ご相談はこの記事の下のお問い合わせからどうぞ。
参考(法令・公的機関の情報)
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