在留資格の基礎
海外旅行に行くとき、パスポートのほかに何かを用意した経験は、あまりないのではないでしょうか。日本のパスポートがあれば、短期の旅行なら多くの国にビザなしで入れるからです。
ただ、行き先によっては事前にビザが必要です。例えば、私は直近でインドに行ったとき、出発前にオンラインで電子ビザを申請しました。
ビザが必要かどうかは、その国と日本との関係で決まるわけではありません。国同士でビザを免除し合う取り決めがあるか、相手の国の入国管理の方針がどうかで決まります。実際、先ほど申し上げたインドと日本は友好関係にありますが、インドは観光で行く日本人にもビザを求めています。
また、アメリカのESTA(電子渡航認証システム)のように、ビザではないものを事前に申請する必要がある国もあります。
そして日本で「就労ビザ」「配偶者ビザ」と呼ばれているものの多くは、実はこの入国のためのビザではなく、日本に住むための「在留資格」のことです。パスポート・ビザ・在留資格は、どれも外国人の手続きでよく出てくる言葉ですが、それぞれ役割がまったく違います。この違いを押さえておくと、外国人を採用するときの手続きが理解しやすくなります。
パスポートは、その人の国籍と身分を証明する書類です。
日本人が持っている赤や紺の冊子がパスポートです。外国人も、自分の国のパスポートを持って日本に来ます。
ビザ(正式には「査証」)は、その国に入るときに使う推薦状のようなものです。外国人が日本に来る場合は、日本に上陸するための条件の一つです。
なお、入国審査のときに空港でパスポートに押されるスタンプは、ビザではありません。「入国(上陸)を許可した」というしるしです。ビザは出発前に受け取っておくもので、空港ではそれを見せて審査を受けます。
ビザは、上陸の許可を受けた時点で役目を終えます。日本に入ったあとの暮らしや仕事を決めるのは、ビザではありません。
また、観光などの短い滞在であれば、ビザがなくても日本に入れる国が多くあります。
在留資格は、外国人が日本に滞在するための法的な資格です。
活動で決まる在留資格では、できる仕事の範囲が決まっています。たとえば「留学」の人は、原則として働けません。アルバイトをするには、別に「資格外活動許可」が必要です。
| パスポート | ビザ(査証) | 在留資格 | |
|---|---|---|---|
| ひとことで | 国籍と身分の証明書 | その国に入るための推薦状 | 日本に滞在するための法的な資格 |
| 発行元 | 国籍のある国 | 行き先の国(日本に来る場合は、海外にある日本の大使館・領事館) | 出入国在留管理庁(法務省) |
| 形 | 冊子 | パスポートに貼るシールなど | 在留カードに書かれている |
| 有効期間 | パスポートの有効期限まで | 入国するときまで(入国すると役目を終える) | 在留期間内(日本にいる間) |
| 雇えるかの確認に使う? | 基本は使わない | 使わない | 使う(在留カードで確認) |
短期滞在などで在留カードを持たない人の在留資格は、パスポートに押される上陸許可の証印で確認します。
外国人を雇う会社が、まず確認しなければならないのは在留資格です。 パスポートは国籍の証明、ビザは入国時に使い終わったものなので、どちらを見てもその人を雇ってよいかは分かりません。
在留資格は、その人が持っている在留カードで確認できます。在留カードは、日本に中長期間在留する外国人(中長期在留者)に交付されるカードです。「短期滞在」の人や特別永住者など、交付されない人もいます。在留カードには、次のことが書かれています。
外国人を採用するときは、働き始める前に、在留カードで在留資格・在留期間・就労制限を確認しましょう。カードの記載だけでは、予定している仕事がその在留資格で認められるか判断できないこともあります。迷ったら専門家に確認してください。
「日本の会社に就職するから、就労ビザを取る」という言い方をよく聞きます。ただ、「就労ビザ」は法律上の正式な名前ではありません。働くことを目的とした在留資格の通称です。
本来のビザ(査証)は、ここまで説明したとおり、日本に入るときに使う推薦状のことで、在留資格とは別のものです。東京都の「東京外国人材採用ナビセンター」の資料でも、就労を目的とした在留資格が「就労ビザ」と呼ばれることがあるものの、ビザと在留資格は異なるので混同しないよう注意が呼びかけられています。
ところが実際には、外国人本人も、雇う会社も、二つの意味の違いを意識しないまま「ビザ」という言葉を使っていることがよくあります。そのため、「ビザを取る」と言われたら、本来の意味のビザ(査証)の話なのか、在留資格の話なのかを確かめることが大切です。多くの場合、次のどちらかの手続きのことです。
つまり、日本にいる留学生を正社員として雇うときに必要なのは、新しいビザではありません。在留資格の変更です。
初めて外国人を雇うときは、分からないことや不安なことも多いと思います。遥か行政書士事務所は、受け入れ企業と外国人本人の両方が安心できるよう、在留資格認定証明書の申請や在留資格の変更など、手続きの面からサポートします。料金の目安は料金のご案内をご覧ください。この記事の下のお問い合わせからお気軽にご相談ください。
参考
最終確認日:2026年10月13日
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