技人国(技術・人文知識・国際業務)の不許可事例を見ると、理由は大きく7つに分けて考えることができます。専門的な知識を必要としない仕事が中心、専攻と関係のない仕事、日本人より低い給与、通訳などの仕事の量が足りない、会社の事業の実態が確認できない、研修の名目で現場の作業が長く続く、本人の在留の状況に問題がある、の7つです。仕事の内容や給与、会社の事業の実態、本人の在留の状況などを雇う前に確認しておくことで、不許可のリスクを減らせます。
外国人の社員を雇うときによく使われる在留資格が、「技人国」(技術・人文知識・国際業務)です。ただ、申請すれば必ず許可されるわけではありません。
出入国在留管理庁は、どんな場合に許可され、どんな場合に不許可になったのか、実際の事例を公表しています。この記事では、その不許可事例を7つの型に分けて、雇う前に会社が確認しておきたいことを説明します。
不許可の理由は、大きく7つ
出入国在留管理庁が公表している事例を見ると、不許可の理由は、次の7つに分けて考えることができます(入管庁の分け方ではなく、事例をもとに当事務所で整理したものです)。
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不許可になった理由 |
| 1 |
専門的な知識を必要としない仕事が中心だった |
| 2 |
学校で学んだことと、仕事が結びついていなかった |
| 3 |
給与が、同じ仕事をする日本人より低かった |
| 4 |
通訳などの仕事の量が足りなかった |
| 5 |
会社の事業の実態が確認できなかった |
| 6 |
研修の名目で、現場の作業が長く続く計画だった |
| 7 |
本人の留学中の在留の状況に問題があった |
ここからは、それぞれの事例を見ていきます。
1. 専門的な知識を必要としない仕事が中心だと認められない
技人国は、大学などで学んだ専門的な知識や技術を使う仕事のための在留資格です。専門的な知識や技術を必要としない作業が中心の場合は、認められません。
- 教育学部を卒業した人が、弁当の製造会社で、弁当の箱詰めをする仕事
- 専門学校を卒業した人が、電気部品の工場で、部品の加工・組み立て・検査・梱包をする仕事(技能実習生とほぼ同じ仕事だった)
- 栄養の専門学校を卒業した人が、菓子工場で洋菓子を作る仕事
- 大学を卒業した人が、ホテルで、宿泊客の荷物運びや客室の清掃をする仕事
仕事の名前ではなく、実際に毎日何をするのかで判断されます。
2. 専門学校は「学んだこと」と仕事のつながりが大切
大学を卒業した人の場合は、専攻と仕事の関連性は比較的広く判断されます。一方、専門学校を卒業した人の場合は、原則として、学校で学んだことと仕事の間に、しっかりとした関連性が求められます(文部科学大臣の認定を受けた専門学校の課程を修了した人などには、判断の特例があります)。不許可の事例も、専門学校を卒業した人のものが多く見られます。
- 声優学科を卒業した人が、ホテルのロビーで翻訳・通訳をする仕事
- ジュエリーデザイン科を卒業した人が、コンピュータ関連の会社で外国人のお客さんの対応や通訳をする仕事
- 服飾デザインの学科を卒業した人が、旅館のフロントで受付をする仕事
- 英語が中心の国際ビジネス学科を卒業した人が、不動産の販売営業をする仕事(不動産や営業について学んだのはごくわずかだった)
「外国語ができるから通訳を」という理由だけでは、専攻と関係のない仕事は認められにくいことが分かります。
3. 給与が日本人より低いと不許可に
技人国では、同じような仕事をする日本人と同じ額以上の給与が求められます。仕事の内容や経験なども踏まえて判断されます。
- 工学部を卒業した人を、月13万5千円でエンジニアとして雇う予定だったが、同じ時期に採用した日本人の新卒社員は月18万円だった
- 通訳・翻訳の学科を卒業した人を、月17万円で雇う予定だったが、同じ時期に採用した日本人の新卒社員は月20万円だった
- 旅館のフロントの仕事で、月約15万円で雇う予定だったが、同じ仕事をする日本人は月約20万円だった
外国人だからという理由で、給与を低く設定することはできません。
4. 「通訳」でも、仕事の量が足りないと認められない
通訳や翻訳は技人国で認められる仕事ですが、その仕事が十分な量あることが前提です。
- 飲食店で、英語での注文の対応とメニューの翻訳をする仕事(簡単な通訳にとどまり、翻訳もメニューだけだった)
- ビル清掃の会社で、留学生のアルバイトへの通訳や、マニュアルの翻訳をする仕事(通訳が必要な場面や翻訳の量が認められなかった)
- 物流の会社で、商品の仕分けをするアルバイトへの通訳をする仕事
- 旅館で外国人のお客さんの通訳をする仕事(お客さんの多くが、本人の母語とは別の言葉を使っていた)
また、従業員12人の飲食店の会社で、会計や労務の仕事をする予定だった事例では、会社の規模からみて、その仕事の量が十分とは認められませんでした。
5. 会社の実態が確認できないと不許可に
雇う会社が、実際にその事業をしているかも確認されます。
- 会計事務所で会計の仕事をする予定だったが、事務所の住所には料理店があり、説明もはっきりしなかったため、事務所の実態が認められなかった
- ビルメンテナンスの会社で、将来の外国人社員への通訳や指導をする予定だったが、その計画が具体的でなく、当面は清掃の仕事をする予定だった
6. 「研修」が長すぎる・先が見えないと認められない
入社後の研修として、一時的に現場の仕事をすることは認められています。ただし、研修が長すぎたり、その後に専門的な仕事をすることがはっきりしなかったりすると、認められません。
- 飲食チェーンの本社で管理者の候補として採用されたが、何年も店舗で接客や調理をしたあとに選ばれる仕組みで、専門的な仕事に就けるかどうかが約束されていなかった
- ホテルのフロントとして採用され、研修は1年の予定だったが、これまでに同じように採用された人が、研修の期間を大きく超えて配膳や清掃を続けていた
- ホテルのフロントとして採用されたが、最初の2年間が研修として配膳や客室清掃をする計画で、在留期間の大半を占めていた
一方、許可された事例には、2年間の店舗での研修のあと、本社の営業や管理の部門で幹部の候補として働く計画がはっきり示されていたものもあります。研修の期間と、そのあとの仕事が明確かどうかが、一つの分かれ目になっています。
ただし、研修の期間がはっきりしていれば必ず認められる、というわけではありません。研修の必要性や内容、期間が長すぎないか、研修のあとに専門的な仕事に移ることが具体的に裏付けられているかなどを見て、一つひとつ判断されます。
7. 留学中のアルバイトのしすぎも不許可の理由に
本人の、留学生だったときの過ごし方も審査されます。
- 留学中に、1年以上にわたって月200時間以上のアルバイトをしていて、資格外活動許可の範囲(原則週28時間以内)を大きく超えていた
- 専門学校の出席率が70%で、欠席していた間にアルバイトをしていた
留学生を新卒で雇う場合、会社が本人の過去のアルバイトの時間を変えることはできません。ただ、内定を出す前に、在留カードで今の資格外活動許可を確認し、本人への聞き取りや、学校が発行する出席の証明書などで、これまでのアルバイトの時間や学校の出席の状況も確認しておくと安心です。在留カードでは、過去の働き方までは分からないためです。
雇う前に会社が確認したいこと
不許可の事例を見ると、多くは雇う前の確認で防げることが分かります。
- 毎日の仕事の中身:仕事の大半が、専門的な知識を使う仕事になっているか
- 学んだこととのつながり:本人の専攻と、任せる仕事がきちんと結びついているか(特に専門学校の卒業者)
- 給与:同じ仕事をする日本人と同じ額以上か
- 仕事の量:通訳や翻訳などの仕事が、会社の規模や実際の場面から見て十分にあるか
- 研修の計画:研修の期間と、そのあとに任せる専門的な仕事が、はっきり決まっているか
- 本人の留学中の状況:アルバイトの時間や、学校の出席の状況に問題がないか
技人国の審査では、書類の書き方よりも、実際の仕事の中身や条件が見られます。遥か行政書士事務所は、任せる仕事が技人国に当てはまるかの確認から、申請書類の作成・申請まで、手続きの面からサポートします。料金の目安は料金のご案内をご覧ください。この記事の下のお問い合わせからお気軽にご相談ください。
まとめ
- 技人国の不許可の理由は、大きく7つに分けられる
- 専門的な知識を必要としない仕事が中心の場合や、専攻と関係のない仕事は認められない(特に専門学校の卒業者は、学んだこととのつながりが大切)
- 給与は、同じような仕事をする日本人と同じ額以上でなければならない
- 通訳などの仕事でも、十分な量がなければ認められない
- 研修は、必要性や期間、そのあとの仕事が具体的に裏付けられていることが大切
- 留学中のアルバイトのしすぎや、学校の出席の状況も審査される
参考
最終確認日:2026年10月31日
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本記事は2026年10月31日時点の情報に基づいています。最新の運用状況は、関係省庁の公表情報をご確認ください。