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遺産分割

遺産分割協議書は必ず必要?いらない場合と、揉めていなくても必要な場合

公開日:2026年10月28日更新日:2026年10月29日 執筆:(遥か行政書士事務所)
遺産分割協議書は、法律で作成が義務づけられた書類ではありません。相続人が1人だけの場合や、遺言どおりに分ける場合は作る必要がなく、預貯金の解約も、金融機関の所定の書類に相続人全員が署名・押印すれば手続きできることが多いです。一方、不動産を法定相続分と違う割合で相続登記する場合や、相続税の配偶者の税額軽減を使う場合などは、揉めていなくても遺産分割協議書が必要になります。

相続人同士で揉めているわけでもないのに、「遺産分割協議書」という堅苦しい書類を作る必要があるのか、と思う方は多いのではないでしょうか。

結論から言うと、遺産分割協議書は必ず作らなければならない書類ではありません。ただし、手続きによっては、揉めていなくても必要になります。この記事では、作らなくてよい場合と、作るべき場合を整理します。

遺産分割協議書とは

遺産分割協議書は、相続人全員で話し合って決めた遺産の分け方を、書面にしたものです。相続人全員が署名し、実印を押して、印鑑証明書をつけるのが一般的です。

法律上、遺産分割の話し合いは、相続人全員が合意すれば成立します。書面にしなければ無効になる、という決まりはありません。遺産分割協議書は、その合意の内容を、銀行や法務局、税務署などに示すための書類です。

遺産分割協議書がいらない場合

相続人が1人だけのとき

相続人が1人しかいなければ、分け方を話し合う必要がないため、遺産分割協議書はいりません。

遺言どおりに分けるとき

遺言で、誰が何を相続するかがはっきり決められていて、そのとおりに分ける場合は、遺言書を使って手続きをします。遺産分割協議書はいりません。

法定相続分どおりに相続登記をするとき

不動産を、法律で決められた割合(法定相続分)のまま、相続人全員の共有として登記する場合は、法務局の案内でも遺産分割協議書は不要とされています。ただし、共有のままにしておくと、将来売るときなどに全員の同意が必要になるため、注意が必要です。

預貯金の解約で、金融機関の書類を使うとき

預貯金の相続手続きでは、多くの金融機関が、独自の「相続手続依頼書」などの書類を用意しています。この書類に相続人全員が署名し、実印を押し、印鑑証明書をつければ、遺産分割協議書がなくても手続きできることが多いです。

ただし、金融機関ごとに必要な書類は違います。手続きの前に、口座のある金融機関に確認してください。

揉めていなくても必要になる場合

相続人の話し合いで、不動産の分け方を決めたとき

たとえば、遺言がなく、相続人全員の話し合いで「実家は長男が1人で相続する」と決めた場合、その内容で相続登記をするには、原則として遺産分割協議書と、相続人全員の印鑑証明書が必要です。

ただし、遺言書や家庭裁判所の調停調書など、別の書類をもとに登記する場合は異なります。

不動産がある相続では、揉めていなくても、遺産分割協議書を作ることがほとんどです。相続登記は、2024年4月から義務になっています。

相続税の特例を使うとき

相続税の申告で、配偶者が相続した財産について税金を軽くする制度(配偶者の税額軽減)を使う場合は、配偶者が取得した財産を示す書類が必要です。相続人の話し合いで分け方を決めた場合は、遺産分割協議書の写しと、押印した相続人全員の印鑑証明書を提出します。遺言書などで取得した財産を示せる場合は、協議書がいらないこともあります。

また、相続税の申告期限(亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内)までに分け方が決まっていない財産には、原則としてこの制度を使えません。ただし、所定の手続きをしたうえで申告期限から3年以内に分けるなど、例外的に使える場合もあります。相続税がかかりそうな場合は、期限を意識して話し合いを進める必要があります。具体的な税額や特例の使い方は、税理士にご相談ください。

手続きする先が多いとき

銀行や証券会社がいくつもある場合、それぞれの用紙に相続人全員が署名・押印するのは大きな手間です。遺産分割協議書を1通作っておけば、多くの手続きで同じ書類を使えるため、相続人が何度も集まったり、書類を郵送し合ったりする負担を減らせます。

必要がなくても、作っておくと安心な理由

手続き上は必要がない場合でも、遺産分割協議書を作っておくと、次のような点で安心です。

遺産分割協議書を作るときの注意点

遺産分割協議書の作成は行政書士に相談できる

行政書士は、相続人全員が合意した内容にもとづいて、遺産分割協議書を作成できます。戸籍を集めて相続人を確定するところから、財産の一覧(財産目録)の作成、金融機関や法務局で使える形の協議書づくりまで、まとめてお手伝いできます。なお、不動産の相続登記の申請の代理は司法書士などの業務で、行政書士は代理できません。戸籍の集め方は「法定相続情報証明制度とは」でも説明しています。

ただし、相続人の間で分け方について意見が分かれ、交渉が必要な場合は、弁護士の領域になります。行政書士に頼めることは「相続手続き、行政書士に頼めること・頼めないこと」で整理しています。

遺産分割協議書は、すべての相続で必要になるわけではありません。大切なのは、ご家族の状況や必要な手続きに合わせて、無理なく相続を進めることです。

遥か行政書士事務所では、遺産分割協議書が必要かどうかの確認から、ご家族で合意した内容の書面作成までお手伝いします。


参考(法令・公的機関の情報)

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本記事は2026年10月29日時点の情報に基づいています。最新の運用状況は、関係省庁の公表情報をご確認ください。
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