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相続のきほん

相続手続き、行政書士に頼めること・頼めないこと|司法書士・税理士・弁護士との違い

公開日:2026年10月15日更新日:2026年10月28日 執筆:(遥か行政書士事務所)
行政書士に頼めるのは、相続人の調査、遺産分割協議書の作成、遺言書の作成サポートなど、「書類を作り、手続きを整えること」です。一方で、不動産の名義変更(相続登記)の申請、相続税の申告、家庭裁判所に提出する書類の作成や手続きの代理、相続人同士で争いがある場合の交渉は、行政書士が取り扱えない業務です。これらは司法書士・税理士・弁護士など、それぞれ法律で認められた専門家が担当します。

相続の手続きは、一つの専門家だけで完結しないことも少なくありません。この記事では、相続で行政書士に頼めること・頼めないことを整理します。

行政書士は何をする専門家か

行政書士の業務は、行政書士法で定められています。中心となるのは、次の2種類の書類の作成です。

あわせて、これらの書類の作成について相談を受けることや、官公署への提出手続きを代理することもできます。

ただし、ほかの法律で業務が制限されている書類は作成できません。相続の分野では、不動産登記の申請代理、相続税の申告、裁判所に提出する書類の作成、年金の請求書の作成・提出代行などが、ほかの法律によって行政書士が取り扱えない業務にあたります。行政書士に頼めるかどうかの線引きは、ほぼこの点で決まります。

相続で行政書士に頼めること

戸籍の収集と相続人の調査

相続手続きでは、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を中心に、相続関係に応じて必要な戸籍(親や兄弟姉妹の戸籍など)を集め、誰が相続人なのかを確定させる必要があります。

行政書士は、遺産分割協議書の作成など、受任した業務を遂行するために必要な場合に、職務上請求によって戸籍を取得できます。請求できるのは、その業務に必要な範囲に限られます。転籍や結婚を重ねていて本籍地がいくつもある場合や、相続人の中に疎遠な親族がいる場合でも、戸籍を読み解きながら漏れなく集めます。

相続関係説明図・財産目録の作成

集めた戸籍をもとに、相続人の関係を一覧にした「相続関係説明図」を作成します。預貯金や不動産などを一覧にした「財産目録」も作成できます。

法定相続情報証明の申出

法務局の「法定相続情報証明制度」を使うと、法務局で戸籍の内容を確認してもらったうえで、認証文付きの「法定相続情報一覧図の写し」の交付を受けられます。以後の手続きでは、何通もの戸籍の代わりにこの書面を使えます。銀行などの手続きを並行して進めやすくなります。

この申出は、親族のほか、行政書士などの資格者が代理できます。

遺産分割協議書の作成

相続人全員で遺産の分け方を話し合い、合意した内容を書面にしたものが「遺産分割協議書」です。預貯金の払い戻しや不動産の名義変更などの際に提出を求められます。

行政書士は、相続人全員が合意した内容にもとづいて、この協議書を作成できます。金融機関や法務局の手続きで使える形に整えることが、専門家に頼む大きな意味です。

自動車の名義変更、農地の届出

自動車の相続による名義変更は、運輸支局での手続きです。

また、相続で農地を取得した場合は、農業委員会への届出が必要です。

いずれも官公署への手続きのため、行政書士が書類の作成と提出を代わりに行えます。

相続土地国庫帰属制度の申請書作成

相続などで取得した土地について、一定の要件を満たし、法務大臣の承認を受けた場合に、国に引き取ってもらえる「相続土地国庫帰属制度」があります。この制度では、申請書の作成を代行できるのは弁護士・司法書士・行政書士に限られると、法務省が案内しています。

ただし、申請を代わりに行えるのは、親権者や成年後見人など、法律で代理人と決められている人(法定代理人)に限られます。行政書士などの専門家が、依頼を受けて代わりに申請することはできません。

遺言書の作成サポート

生前の備えとして、遺言書の文案作成をお手伝いできます。

公正証書遺言を作成する際には、証人2人の立会いが必要です。ただし、未成年者、相続人になる予定の方や遺言で財産を受け取る方、その配偶者や親・子・孫などの直系の親族、公証人の親族や職員などは、法律で証人になれないと定められています。行政書士は、これらに該当しなければ証人になることができます。

また、遺言の内容を実現する「遺言執行者」に就任することもできます。

任意後見契約・死後事務委任契約の文案作成

判断能力が衰えたときに備える「任意後見契約」や、亡くなった後の葬儀や片付けを任せる「死後事務委任契約」の文案も作成できます。

なお、任意後見契約は、法律で公正証書で結ぶことが定められています。行政書士が文案を整え、公証役場での手続きにつなぎます。

相続で行政書士に頼めないこと

次の手続きは、法律でそれぞれの専門家の業務と定められているため、行政書士はお引き受けできません。

手続き 担当する専門家
不動産の名義変更(相続登記)の申請 司法書士・弁護士
相続放棄の申述書や遺言書の検認の申立書など、家庭裁判所に出す書類の作成 司法書士・弁護士
家庭裁判所での手続きの代理 原則として弁護士
相続税の申告、個別の税額の計算や相談 税理士
遺族年金・未支給年金の請求書の作成と提出代行 社会保険労務士
相続人同士の争いの交渉・代理 弁護士

注意したいのは、税金の個別の相談です。「うちの場合、相続税はいくらになるか」といった具体的な計算や助言は、税理士の業務とされています。国税庁は、無償であっても反復して行えば禁止の対象になり得るとしています。

当事務所では、これらの手続きが必要な場合は、必要に応じて司法書士・税理士・弁護士をご紹介します。

相続人同士で意見が分かれているときは

行政書士は、相続人全員が合意した内容にもとづいて、遺産分割協議書を作成します。

一方、相続人の間で意見が対立し、遺産の分け方について交渉や紛争の解決が必要な場合は、法律上、弁護士の領域になります。行政書士が一方の相続人の代わりに交渉したり、意見の対立を取りまとめたりすることはできません。

話し合いの途中で意見が分かれた場合も、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

どの専門家に相談すればよいか迷ったら

目安は次のとおりです。

実際の相続では、「不動産もあるし、相続税もかかるかもしれない」というように、複数の専門家が関わることがよくあります。最初の窓口として全体を整理し、必要な専門家に適切に引き継ぐことも、行政書士の大切な役割です。

私は過去に警察官として勤務していた頃、人の死と向き合う場面が多々ありました。そのとき、残されたご家族が深い悲しみの中で、慣れない手続きに追われる姿も目にしました。

大切な方を見送った後、悲しみの中で手続きに追われることがないように。遥か行政書士事務所は、最初のご相談から必要な専門家へのご案内まで、ご家族のそばで手続きを支えます。


参考(法令・公的機関の情報)

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本記事は2026年10月28日時点の情報に基づいています。最新の運用状況は、関係省庁の公表情報をご確認ください。
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