相続人と財産を調べる
相続の手続きを進めるには、「誰が相続人か」と並んで、「どんな財産が、どれだけあるか」を確かめる必要があります。その結果をまとめた書類が「財産目録」です。
この記事では、財産目録の作り方を、見本と一緒に説明します。
財産目録は、亡くなった方の財産を一覧にした書類です。預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も書きます。
相続人が手続きのために作る財産目録には、法律で決まった書式はなく、手書きでもパソコンでも構いません(家庭裁判所に提出する場合など、用途によっては書式が決まっていることもあります)。作っておくと、次のような場面で役に立ちます。
財産の種類ごとに分けて書くと、見やすくなります。家庭裁判所が使っている遺産目録の書式も、土地・建物・預貯金・株式などに分かれています。
| 種類 | 所在・地番(家屋番号) | 面積 | 評価額の目安 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 土地 | 東京都〇〇区〇〇町一丁目〇番〇 | 120.00㎡ | 2,000万円 | 自宅の敷地 |
| 建物 | 同所 家屋番号〇番〇 | 95.50㎡ | 500万円 | 自宅 |
| 金融機関・支店 | 種類・口座番号 | 亡くなった日の残高 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 〇〇銀行 〇〇支店 | 普通 1234567 | 600万円 | 年金の受取口座 |
| ゆうちょ銀行 | 通常貯金 記号〇〇〇〇〇 番号〇〇〇〇〇〇〇〇 | 150万円 | |
| 現金 | ― | 50万円 | 自宅で保管 |
| 銘柄 | 証券会社・支店 | 数量 | 評価額の目安 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 〇〇株式会社 | 〇〇証券 〇〇支店 | 100株 | 200万円 |
自動車、貴金属、ゴルフ会員権、貸したお金など。
| 相手先 | 内容 | 亡くなった日の残高 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 〇〇銀行 | 住宅ローン | 200万円 | 団体信用生命保険で完済されるか確認 |
| 〇〇カード | カードの利用残高 | 30万円 | |
| ― | 未払いの入院費・税金 | 70万円 |
住宅ローンは、団体信用生命保険に入っていれば、保険でローンが完済される場合があります。亡くなった日の残高と、最終的に残る借金は分けて考えましょう。
| 金額 | |
|---|---|
| プラスの財産 | 3,500万円 |
| マイナスの財産 | 300万円 |
| 差し引き | 3,200万円 |
※金額は架空の例です。相続税の計算に使う評価額とは異なる場合があります。
財産目録を作るには、まず財産を漏れなく調べる必要があります。財産の種類ごとに、主な調べ方は次のとおりです。
| 財産 | 手がかり | 調べ方 |
|---|---|---|
| 不動産 | 固定資産税の納税通知書、権利証(登記識別情報) | 市区町村(東京23区は都税事務所)で「名寄帳(なよせちょう)」を取ると、その市区町村(東京23区は区ごと)にある不動産の一覧が分かります。法務局の「所有不動産記録証明制度」を使うと、亡くなった方の名義で登記されている全国の不動産を調べられます。ただし、検索の条件や登記の状況によっては、すべての不動産を把握できるとは限りません |
| 預貯金 | 通帳、キャッシュカード、郵便物 | 金融機関に「残高証明書」を請求すると、亡くなった日の残高が分かります |
| 株式など | 取引報告書、配当の通知 | 証券保管振替機構(通称「ほふり」)に開示請求すると、対象となる株式などの口座がある証券会社などを調べられます。保有している銘柄や残高は分からないため、判明した証券会社などに別に確認します |
| 借金 | ローンの契約書、督促状 | 信用情報機関(株式会社シー・アイ・シー〈CIC〉、株式会社日本信用情報機構〈JICC〉、全国銀行個人信用情報センター)に開示請求すると、登録されているローンやカードの契約情報などを確認できます。ただし、すべての借金が登録されているわけではありません |
通帳やスマートフォンに残っている引き落としの記録からも、思わぬ財産や契約が見つかることがあります。
不動産は、登記簿(登記事項証明書)に書かれているとおりに書きます。住所(住居表示)と地番は違うことが多いので注意が必要です。預貯金は、金融機関名・支店名・口座番号まで書きます。
預貯金の残高は、亡くなった日の金額で書くのが基本です。亡くなった後に引き出しや引き落としがあった場合は、備考欄に書いておくと、相続人の間で誤解が生まれにくくなります。
プラスの財産だけを書いて、借金を書き忘れると、相続放棄の判断を誤るおそれがあります。分からないものは「調査中」と書いておき、分かり次第書き足します。
遺言書に添付する財産目録は、遺言を書く本人が生前に作るものです。この記事で説明しているのは、亡くなった後に相続人が作る財産目録です。
財産を一つずつ調べて、正確な一覧にまとめるのは、思った以上に手間がかかります。特に、遠方に不動産がある場合や、口座がいくつもある場合は、書類の取り寄せだけでも時間がかかります。
行政書士は、相続人や相続財産の調査、財産目録の作成、相続人全員の合意内容にもとづく遺産分割協議書の作成などをお手伝いできます。相続人同士で争いがある場合や、相続登記・相続税の申告が必要な場合は、それぞれの専門家への相談が必要です。行政書士に頼めることは「相続手続き、行政書士に頼めること・頼めないこと」で整理しています。
どんな財産があるのかが分かると、相続の手続きは一気に進めやすくなります。遥か行政書士事務所は、財産の調査から財産目録の作成まで、ご家族と一緒に一つずつ確かめながらお手伝いします。
参考(法令・公的機関の情報)
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