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生前対策・終活

死後事務委任契約とは|葬儀・解約・遺品整理など、亡くなった後のことを頼む契約

公開日:2026年10月19日 執筆:(遥か行政書士事務所)
死後事務委任契約は、葬儀や火葬、役所の手続き、公共料金や携帯電話の解約、遺品整理など、亡くなった後の事務を、生前に信頼できる人に頼んでおく契約です。遺言は主に財産の引き継ぎ方などを決めるためのもので、こうした事務を確実に任せるには、死後事務委任契約を別に結んでおく方法があります。身近に頼れる家族がいない方や、家族に負担をかけたくない方にとって、遺言や任意後見と組み合わせて備える方法の一つです。

人が亡くなった後には、葬儀や火葬、役所への届出、病院や施設の費用の精算、公共料金や携帯電話の解約、部屋の片付けなど、多くの事務が発生します。ふだんは家族が担うことが多いこれらの事務を、生前に誰かに頼んでおく契約が「死後事務委任契約」です。

一人暮らしの高齢者は増え続けています。65歳以上で一人暮らしの方は2020年に約672万人で、2050年には約1,084万人になると推計されています。国も2024年に、死後事務などを引き受ける事業者向けのガイドラインを定めました。

この記事では、死後事務委任契約で頼めること、遺言との違い、契約するときの注意点を説明します。

死後事務委任契約とは

死後事務委任契約は、自分が亡くなった後の事務を、生前に特定の人に頼んでおく契約です。頼む人(委任者)と引き受ける人(受任者)の間で結びます。受任者は、親族や友人のほか、行政書士などの専門家や、こうしたサービスを行う事業者がなることもあります。

法律上、委任契約は原則として、頼んだ人が亡くなると終了します。そのため、死後事務委任契約では、委任者が亡くなっても契約が終わらないことを契約書に定めておくことが大切です。国のガイドラインでも、その旨を契約書に明記することが望ましいとされています。

どんな人に必要か

死後事務委任契約は、次のような方に特に役立ちます。

頼める主な内容

国のガイドラインでは、死後事務の例として次のようなものが挙げられています。

分類 主な内容
連絡 死亡の確認、親族や関係者への連絡
葬儀・納骨 葬儀、火葬、納骨、永代供養に関する手続き
費用の精算 病院や施設の費用の支払い、病室や居室の片付け
行政手続き 国民健康保険や後期高齢者医療制度の資格喪失の届出など
解約 公共料金、携帯電話、インターネットなどの解約
住まい・遺品 家財や遺品の整理、残された物の処分

このほか、ペットの引き渡し先への連絡や、SNSのアカウントの削除などを頼むこともあります。何を、どのように頼むかは、契約の中で具体的に決めておきます。

頼めないこと・注意が必要なこと

死後事務の受任者というだけでは、死亡届の届出人になれない

死亡届の届出人になれる人は、戸籍法で決められています。同居の親族などのほか、同居していない親族、後見人・保佐人・補助人、任意後見人、任意後見受任者も届出人になれます。

一方で、死後事務委任契約の受任者というだけでは、死亡届の届出人にはなれません。受任者が別に任意後見人や任意後見受任者などの立場を持っていれば、届出人になれます。国のガイドラインでも、受任者が任意後見人などでない場合は自分で死亡届を提出できないため、相続人がいれば速やかに連絡することが重要とされています。

なお、「届出人になること」と、届出人が署名した死亡届を役所の窓口に持っていくことは別です。届出人にはなれなくても、書類を届けるなど、手続きを手伝うことはできます。

このため、死後事務委任契約とあわせて、任意後見契約を結んでおく方法もあります。

財産の分け方は、死後事務委任契約では決められない

財産を誰に残すかは、遺言で決めるものです。死後事務委任契約では、財産の分け方を決めることはできません。

相続人との関係

亡くなった方の財産は、原則として相続人に引き継がれます。家財や遺品にも相続財産に当たるものがあるため、受任者が自由に処分してよいわけではありません。遺品の整理や処分を頼む場合は、処分する物の範囲や方法を契約で具体的に決めておき、相続人がいる場合はあらかじめ説明しておくと、亡くなった後のトラブルを防ぎやすくなります。

受任者は、行った事務の結果を相続人に報告することになります。相続人が複数いる場合は、報告先を契約で決めておくこともできます。

遺言・任意後見との違いと組み合わせ方

契約・制度 いつ効力があるか 主に決めること
任意後見契約 判断能力が衰えた後、生きている間 財産の管理、介護や施設の契約など
死後事務委任契約 亡くなった後 葬儀・火葬、届出、解約、遺品整理など
遺言 亡くなった後 財産を誰に残すか

それぞれ役割が違うため、一つだけでは足りないことがあります。たとえば、判断能力が衰えてからの生活は任意後見契約で、亡くなった後の事務は死後事務委任契約で、財産の行き先は遺言で、というように組み合わせて備えるのが一般的です。

遺言にも葬儀の希望などを書くことはできますが、法律上の効力を持つ事項ではないため、確実に実行してもらうには、死後事務委任契約で具体的に頼んでおく方が安心です。

契約するときの注意点

費用の預け方を確認する

死後事務には、葬儀や納骨の費用、受任者への報酬などがかかります。こうした費用を、生前に受任者にまとめて預けておく(預託金)方法がよく使われます。

国のガイドラインでは、事業者に預けるお金について、事業者自身の運営資金と区分して管理すること、定期的に管理状況を報告すること、信託契約を利用して保全することなどが望ましいとされています。事業者と契約する場合は、預けたお金がどのように管理されるのかを必ず確認しましょう。

また、死後事務が終わった後に預託金が余った場合に、残ったお金を誰に返すのか、どう精算するのかも、契約書で明確にしておきましょう。ガイドラインでは、残金をめぐって相続人とトラブルになるおそれがあることや、残金を事業者に贈与する契約をあわせて結ぶことは避けるべきことが示されています。

解約や返金の条件を確認する

契約は長い期間にわたることが多く、途中で状況が変わることもあります。契約書や重要事項の説明書で、解約できる条件や、解約したときにお金がどれだけ返ってくるかを確認しておきましょう。

契約書を作り、内容を具体的にしておく

死後事務委任契約に、法律で決められた形式はありません。ただし、亡くなった後に受任者が手続きをするためには、何を頼まれているかが明確でなければなりません。契約書を作り、頼む内容をできるだけ具体的に書いておくことが大切です。公正証書で作っておく方法もあります。

亡くなったことが受任者に伝わるようにしておく

契約を結んでいても、亡くなったことを受任者が知らなければ、事務を始められません。受任者の連絡先を自宅に掲示しておく、かかりつけの病院や介護施設、ケアマネジャーなどに伝えておくなど、亡くなったときに受任者へ連絡が入る仕組みを作っておくことが大切です。

2026年の改正で、補助人も死後の事務を行えるようになる

2026年6月に成立した改正民法では、成年後見制度の「後見」「保佐」「補助」が「補助」に一本化されます。改正後は、補助人が一定の条件のもとで、本人が亡くなった後の火葬や埋葬に関する契約などを行えるようになります。

この改正は、2026年10月時点ではまだ始まっていません。施行日は、2026年6月24日の公布から2年6か月以内に、政令で定められます。

ただし、成年後見制度は、判断能力が十分でなくなった方を支えるための制度です。元気なうちに、自分で決めた人に亡くなった後のことを頼んでおきたい場合は、死後事務委任契約が選択肢になります。

死後事務委任契約は行政書士に相談できる

死後事務委任契約の契約書の作成は、行政書士がお手伝いできます。何を頼みたいか、誰に頼むか、費用をどう準備するかを伺ったうえで、遺言や任意後見契約との組み合わせも含めて一緒に考えます。

ただし、相続人の間ですでに争いがある場合は、弁護士の領域になります。行政書士に頼めることは「相続手続き、行政書士に頼めること・頼めないこと」で整理しています。

亡くなった後のことを誰かに託しておくことは、ご自身の安心にも、残される方への思いやりにもつながります。遥か行政書士事務所は、お一人おひとりのご希望を伺いながら、死後事務委任契約の作成をお手伝いします。


参考(法令・公的機関の情報)

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本記事は2026年10月19日時点の情報に基づいています。最新の運用状況は、関係省庁の公表情報をご確認ください。
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